シチリアの名物お菓子、カンノーリについて

ドルチェ

イタリア語について少し

イタリア語では、複数のものを表すのに語尾を変化させて表現させます。

例えば-oで終わる(男性)名詞は、-iとなりますが、今回のお話の主役であるカンノーロは

イタリア語表記ですとcannnoloと-oで終わるため、

よって複数で終わらせたい時には-iとします。

つまり、

カンノーリ(cannoli)は複数形、カンノーロ(cannolo)は単数形です。

よってカンノーロと呼んでも、カンノーリと呼んでもどちらの表現も正しいです!

単数か複数かで呼び方が変わるだけですね。

なので、細かいことを言うと、

日本でカンノーロを1つ買う際に、

「カンノーリを一つください!」

は厳密に言えば間違いです。

イタリアでは1つの場合にはカンノーロと呼ぶことにしよう!

他には例えば、

トマトをイタリア語ではポモドーロと言いますが、

ポモドーロ:pomodoroをポモドーリ:pomodoriにすることで、複数となります。

もしイタリアへご旅行へ行く際には少し覚えておくと、便利な場面があるかもしれません!

ただし、多くの例外があることもお伝えしておきます。

愛すべきシチリアのドルチェ

イタリア南にある地中海最大の島シチリア。

そんなシチリアで特に愛されているお菓子、それが今回ご紹介させていただくカンノーリ

皆様カンノーリはご存知でしょうか?

ココアが混ぜられた生地を薄く伸ばし、丸くくり抜いて筒状にして揚げます。
その筒の中にたっぷりの砂糖で味付けしたリコッタを詰めて、ドレンチェリーやピスタチオを飾れば完成です。

最近では日本でも見かけるようになりました。

シチリアのとある朝に起きた出来事

シチリアの州都パレルモに旅行で行った時の話です。

行ったことのある方は想像が出来るかもしれませんが、

シチリアでは時にものすごい量の食事が出てくることがあります。

ご飯を茶碗5杯くらいは普段食べている私が食べきれないくらいの量がきて、

少しでも休むと

「なんだ、全然食わないな!」

という会話は日常茶飯です。

たいてい、”あなた”より食べてるのですが。

その日も例のごとく食べ過ぎ、そんな時のお腹にはもうなんにも入りません。

ましてや夜だと動きたくなくなります。

宿に帰って一目散にベッドに行き、
「明日の朝はエスプレッソかカプチーノだけにしよう。」

そう考えながら私はある日眠りにつきました。

そして翌朝、

起きてリビングに行き宿のオーナーである奥様に挨拶します。

キッチンから現れたのはその奥様と、手には紙袋に包まれた何か。

奥様「今朝車でピアーナデッリアルバネージまで行ってカンノーリ買ったきたのよ!」

と奥様は嬉しそうに言います。

ピアーナデッリアルバネージは、パレルモから車で約1時間程。

往復で2時間くらいです。

そんな労力をかけて買ってきていただいたカンノーリを食べないわけにはいかない。
しかもカンノーリは好物だ。

そう思いました。

マダムは聞きます。

「何本食べる?」

え?あ、複数の選択肢はなかったわ。

「1本お願いします。」

私が答えると

奥様は

「カンノーリはいくらでもあるからね!」

文字通りいくらでもある。見えている。

おそらくあの紙袋の大きさで言うと中身には10本を超えている。

「飲み物は?エスプレッソ?カプチーノ?」

「カプチーノをお願いします。」

そう、エスプレッソでは量が少なく、とてもあのあま~いカンノーロと戦える気がしなかったのを今でも覚えている。

さあ、目の前にはカンノーロ。

少しの勇気を出して、一口食べると…

「おいしい

そうなんです。

前日の食事がまあ消化されていない、お腹がいっぱいな状態でも美味しいし沁みるんです。

そんなカンノーロを1本、大満足で食べ終わりました。

その様子を見た奥様が

「カンノーリ、おかわりあるよ!」

いつも優しいのがシチリア人。

返事を待つことなく、

「食べれない?持ち帰る?」と奥様。

どれだけ人が良いんだろう。

遠慮せずに1本お土産にお願いさせていただきました。

後程確認したら4本入ってました。

やたら入れてくれた袋が大きいなとは思っておりましたが、まさか4本とはね。

有難い重み。いや、想みですね。

そんなカンノーロ。

日本ではイタリア料理、特にシチリア料理を専門にやってらっしゃるレストランや、イタリアのドルチェ(デザートの意)をウリにされているお店(pasticceria:パスティッチェリア)では見かけることも増えてきました。

購入もしくは召し上がるのにおすすめの場所は、揚げた生地に注文してからリコッタのクリームを詰めてくれるところです。

生地がサックサクでリコッタのクリームはとっろとろ

ほのかな苦味心地よい甘さ絶妙です!!

最近流行のピスタチオを使ったクリームやチョコレートのクリームバージョンもあります。

シチリアに行ったら是非食べていただきたいです。

そんなに大きいのは食べれないという方には、

小さいサイズのカンノリッキがおすすめです!

1/3くらいの大きさで食べやすいです。
価格もカンノーロが3€程度で、カンノリッキが1€といったところです。

それではこのカンノーリの作り方を紹介します。

ご興味のある方は是非ご参考下さい。

カンノーリの作り方

まずスコルツァ作りです。

カンノーリの生地(周りの筒)はスコルツァといいます。

【スコルツァ】

  • 強力粉 80g
  • 薄力粉 70g
  • ココアパウダー 10g
  • グラニュー糖 5g
  • 塩 1g
  • 卵黄 2ケ
  • マデイラ(マルサラ) 30g
  • ラード 10g

まずふるった強力粉と薄力粉、ココアパウダーにグラニュー糖と塩を加えて

そこに卵黄とマデイラもしくはマルサラを加えて混ぜます。

ひと塊になったらラードを加えてもう少し捏ねていき、まとまったらラップをして冷蔵庫で休ませます。

2時間も休ませれば十分でしょう。

休ませたらその生地をパスタマシーンか綿棒を使い伸ばしていきます。

1㎜程度に伸ばした生地をフォークなどで生地が膨らみ過ぎないようにするため穴をあけ、筒状にし揚げます。

あまり高い温度で揚げるのではなく、最初は160℃くらいからお試しください。

この時の揚げ油はサラダ油でもちろん構いませんが、ラードで揚げるのが本場です。

もし手に入るようでしたら是非お試しください。

サラダ油で揚げるよりもべたつきにくくカラっとします。

2時間程生地を休ませている間にリコッタクリームを作ります。

【リコッタクリーム】

リコッタを買いにいきます。

水気を切りリコッタの分量の半分の粉糖を混ぜます。

※シチリアでは粉糖をリコッタの半量いれますが、これだと甘いと感じる方も多いかと思いますので1/4あたりから調整してください。

あとはお好みです。

本来は羊乳で作られたリコッタを使いますが、牛乳のリコッタでも十分美味しくなります。

また羊乳は少しクセがあり苦手と感じる方も少なくないはずです。

もしシチリアに行く機会がありましたら、どちらもご試食してみてください。

あとはこのリコッタクリームを絞り袋に入れて、

揚げたスコルツァにいれたら完成です。

リコッタクリームにはお好みでチョコレートチップやピスタチオを入れても良いでしょう。

飾りにドレンチェリーやオレンジピールを乗せたら完成です。

リコッタは手作りも出来ます。

厳密にはリコッタではないのですが、ご興味がある方がいらっしゃいましたら作ってみて下さい。

【リコッタ】

  • 牛乳 500g
  • 生クリーム 100g
  • 砂糖 15g
  • 塩 0.5g
  • レモン汁 32g

牛乳、生クリーム、砂糖、塩を鍋に入れて温めます(75℃前後)。

火を止めてレモン汁を加えて、しばらく置いておくと分離してきますので、それをすくい取ります。

水気が切れたら完成です。

これはリコッタというよりもフレッシュチーズです。

お料理にも広くご使用になれますのでご興味がありましたらお試しください。

カンノーリはご家庭では難しいかもしれませんが、もし機会があれば楽しみながら作ってください!