ドリップコーヒー
朝起きて、コーヒー豆を挽く。
丁寧に手入れをしている機械の『ヴィィィーン』という音と共に、キッチンは瞬く間に芳醇に。
もうここはカフェだ。
挽き方は様々。手で挽いてもいいし、機械を使ってもいい。もしくはコーヒー屋さんの店主に挽いてもらったものを、でももちろん良い。
挽き方も粗目から細目までお好みに挽けばいいが、ドリップコーヒー用はおおよそ中くらいに挽くと決まっている。
朝の忙しい時間で手で挽くのはなかなか手間のかかる。
そのため、機械がおすすめ。
挽いてもらったものは開封後、密封して冷凍庫に入れておくと鮮度が保たれる。
好きな豆を選び、好きな焙煎具合に、そして好きな飲み方で飲む。
『ああ、今日は少し濃かったかな』
朝からそんな一日を迎えられれば、その日はもう良い一日だ。
1人分の量の目安は豆10gで、お湯の量は150g。
タイマー付きの計りで4分くらいかけてゆっくり淹れていく。
最初の一投でふわーっと豆が膨らむ。
10秒ほど蒸らして、ゆっくりゆっくり。
あとは細い糸を垂らすようにコーヒー豆に注いでいく。
その時間に今日の一日のスケジュールを考える。
音楽をかけたりもする。こういう時はたいていボサノバかジャズだ。
ブルースもいい。
ただ朝からスイッチを入れるためにロックを聴くこともある。
間違いなく良い一日のスタートを切った。
今日という日に期待が膨らむ。
コーヒーを飲むことが、私にとっての日々の第一投だ。
カップを温めて、そこにドリップしたてのコーヒーを注ぐ。
わざわざカップを温めることに、この1杯の贅沢さが増すのだ。
ミルクや砂糖は気分で入れることもあるが、
ブラックで飲むことがほとんど。
朝は気持ち濃い目に淹れると美味しいコーヒーになりやすい。
パッと目が覚める。
コーヒーを飲んだら仕事に向かう。
仕事に向かうと言っても会社に向かう人もいれば、最近では在宅ワークの方も増えた。
仕事に行く途中でカフェに向かって、また”いつもの”コーヒーを頼む人だっているだろう。
一度コーヒーの魅力にハマってしまうと、今度はどこの国のコーヒー豆が自分に合っているか探し始める。
コーヒーについて勉強を始めた頃の話。
2大産地はブラジルとコロンビアと知った。
まずはこのどちらが好みか比べてみることにした。
最初はコロンビアを選んだ。
スプレモだ。
浅めにミディアムローストかシナモンローストで焙煎してもらうのが良いと聞いた。
爽やかな柑橘を思わす風味でありながら、飲みごたえはしっかりと感じる。
この豆はアイスコーヒー用に水出ししても美味しく飲める。
スーッと清涼感があり、蒸し暑い真夏には最高の飲み物になる。
ブラジルならゴールデンマウンテンが良い。
シティローストで焙煎してもらい、湯音は低めの88度で淹れる。
そんかことを考えているだけで楽しい。
そこにどんな科学式が存在しているのかはよく分からない。
実に多くの複雑な要素が1杯のコーヒーを生み出す。
カフェに行き、今日のコーヒーは特別に美味しいと感じることもあるが、次回同じコーヒーに出会えることはない。
職人さんは同じように淹れてくれていても、自信の気分や体調の違いで味わいの感じ方が異なる。
ただ、”その職人さんのコーヒー”はいつも美味しいということはある。
毎日のコーヒーを日常の贅沢に。
コーヒーを言えば思い出す小説がある。
湊かなえさんの「リバース」がそれだ。
まだ読んでいない方にはおすすめです。
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