イタリア旅行中、フィレンツェを経由することになっていたのでせっかくだからとランプレドットを食べに行くことにした。
ランプレドットとは牛の胃のことで、4つあるうちの4番目にあたり日本ではギアラと呼ばれている。
イタリア料理で牛の胃袋といえば一番に想像されるであろうトリッパ(ハチノス)は2番目にあたる。
フィレンツェではトマトで煮込まれていることが多い。
これもまたフィレンツェで召し上がっていただきたい料理の1つである。
当日現地に住む友人の案内でフィレンツェの人混みをかき分けながらずんずんと進んでいった。
11月になったというのにまだまだ暑い日差しが降り注いたのが印象深い。
多くの人は上着を脱ぎ、半袖の人も多く見かける気候だった。
もう一方の手にはビール瓶を持ち、目の前に広がる世界を愉しんでいる。
久しぶりに訪れたフィレンツェはおそらく何も変わっていないのだが、
15年ほど前に訪れた時とは全く違って見えた。
駅から20分ほど歩くと今回の目的地である屋台が見えてくる。
Sergio Pollini Lampredotto (セルジョ・ポッリーニ・ランプレドット)
屋台の前には大勢の人が順番待ちをしている。
しっかりと列を作っているのだ。
少し前のイタリアでは見られなかった光景である。
これが観光客がもたらす力でもあるのだろうか。
順番待ちをするために列に並ぶ。
ぬるくなったビールを一気に飲み干し、ゆっくり前に進む。
途中で赤ワインが飲みたくなる。
しっかりとキャンティがあるではないか。
列から外れキャンティをもらいに行くと、
自分でやってくれと言われる。
なみなみとプラスチックのカップに注ぎ、
のそのそと列に戻る。
プラスチックカップで飲む1€の赤ワインがこんなにもうまいことはあるだろうか。
喉から足の指先まで一気に水分が駆け抜けていく。
途中途中でお店の人が叫び出す。
ランプレドット以外の人はこっちだ!
待っている人はほとんど気にもしない。
なぜなら皆、ランプレドットを待っているからだ。
なんだかんだで30分ほど待ったであろうか。
ようやく屋台の目の前まで来た。
煮込まれたランプレドットを丁寧に刻み、刻み、刻む。
そして、パンに乗せ
塩、こしょう、ペペロンチーノのオイル、サルサヴェルデ(パセリのソース)で味付けをする。
そしてようやく手元に届いたランプレドットを一口頬張ると、
内臓が口の中で溶けていく。
こういうものなのか?
想像と違うぞ。
その時もうすでに決めていた。
次フィレンツェにきたらもう一度来よう。
そして次は、ランプレドットを街ながらトリッパも食べてみよう。