スペインにてティラミスを作った時の話
そんなティラミスを、スペインで作った時の話です。
当時勤めていたレストランのスーシェフ(二番手)が、お昼の賄いの時に今度何かイタリアンを作ってくれと声を掛けてくれました。
そこでパスタやリゾットその他の郷土料理も思い浮かびましたが、
パスタはあまり好きではないと断られ、リゾットはシェフに作ってくれ
となり考えてました。
※パスタは毎週土曜日の昼がパスタの日だったこともあると思います。
イタリアでは魚や肉は焼きっぱなしにして塩、レモン、オリーブオイルをたぷりとかけて食べるのが最高に美味しいのだけれど
それはスペインのバスクでも似たようなことをするし、そんなこと求められてもいない。
もちろん調理法は他にもいくらでもあるのだが、マニアックな食材が手に入りにくかったりもする。
それじゃあ、パニーニか。
パニーニはイタリアでのサンドウィッチで、バケットに生ハムやサラダ、チーズを挟んだもの。
街で道行く人が頬張っているのはだいたいパニーニだ。
しかしこれもスペインにはボカディージョというパニーニと同義のサンドウィッチがある。
レストランにおいて、賄いにかける時間は限られている。
つまり、時間はあまりない。
そこで、私がスーシェフに
『ティラミスはお好きですか?』
と尋ねました。
するとスーシェフに
『おー、大好きだよ!是非作ってくれ』
と言っていただいた。
ティラミス作り
そして、さっそく必要なものを注文をしに行く。
確認したところ、マスカルポーネチーズの納品日はまだ先のようだ。
クリーム作りはその納品日以降にすることになる。
卵やコアパウダーは常備されているのので問題ない。
サヴォイアルディは?
ないので、焼こう!
ただ、今回はスポンジケーキ(共立て法)を使おう。
スポンジケーキはサボイアルディよりもティラミスが仕上げやすい。
さっそく皆が休憩している間にスポンジケーキを焼く。
オーブンに入れて数分後良い匂いがしてきた。
焼けた!
『なんか良い匂いがするな!』と、早めに休憩から帰ってきた同僚が言った。
『ティラミス作るから!そのスポンジケーキを焼いてる!』
すると同僚が、
『味見していいのか?』
私は、
『少しなら大丈夫!』
と答えた。
少しなら大丈夫と思っていた。
だんだんと休憩から戻ってくる人が増えてくる。
そして、言うまでもなくスポンジケーキは無くなった。
大盛況だ。
いや、ちょっと待て。
休憩ぜずに焼いたティラミス用のスポンジケーキ。
『美味しかった!レシピ教えて!』
そうじゃないんだ。
これはティラミス用だ。いや、そうなる予定であった。
『うまい!』
その言葉にありがとうと思い、
『最高だ!』
料理人やっててよかったと心が救われ、
『お前がNo.1だ!』
ここまでくるともう嬉しい。
褒められて嫌な気はしない。
スポンジケーキをもう一度焼こう。
それが良い。
数日後
マスカルポーネチーズが届く。
エスプレッソは仲の良いサービスマンの友人にお願いした。
快く了承してくれた。
友人って大事だなと実感した。
その友人が
『ティラミス用か?あとで出来たらこっそり持ってきて!』
言われなくてもそのつもりだった。
本来、今回のティラミスはスーシェフとその周りの調理場を仕切る数名に向けて作ればよかったのです。
だいたい皆そうする。材料費などもかからないし、少量で済むため手間もかからないからだ。
ただどうしても皆に少しでも食べてもらいたくて、スーシェフに今回は皆の分も作りたいので多めに作っても良いかと確認したところ、
『もちろん、オッケーだ!』と言ってくれた。
みんなのあの顔は忘れない。
そんなスペインのとあるレストランで、大絶賛だったティラミス。
スペインで、イタリアのことも好きになってもらえた気がしてとても嬉しかった思い出がある。
この話を読んでいただきティラミスを食べたくなったり、誰かに作ってあげたくなったという方がいらっしゃいましたら嬉しいです。
そんな方のために以下ティラミスのレシピ紹介します!
ご希望の方は下へお進みください。
宜しくお願い致します。
ティラミスの作り方
【スポンジケーキ】
- 全卵 310g
- グラニュー糖 2250g
- 薄力粉 160~1650g
- バター 20g
- 牛乳 40g
1、全卵をボールに入れ人肌に温める。
2、グラニュー糖を分量の1/3程加えて、ハンドミキサーで混ぜる。
3、2が膨らんできたら、グラニュー糖を1/3加え、さらに1/3加える。
4、おおよそ10分程度混ぜたら、そこに薄力粉半量入れて生地になじませる。
5、さらに薄力粉半量を加えて、薄力粉が全体に馴染む前にバターと牛乳を入れてさっくり混ぜる。
※バターと牛乳を入れたら混ぜすぎないことがポイント
6、オーブンシートを敷いたバットに流し入れて、200度のオーブンで22分~23分焼成。
※バットの大きさですが18枚取りのステンレスバット2枚分を目安にしてください
7、焼き上がったら、オーブンから出して二度ポンポンっと落として空気を抜く。
8、常温で粗熱を取る。
スポンジケーキは市販のスポンジケーキやサヴォイアルディで代用可能です。
そちらも併せてご検討下さい。
【マスカルポーネチーズクリーム】
- マスカルポーネチーズ 500g
- グラニュー糖 80~100g
- 全卵 120g
1、卵をボールに割入れて、軽く溶きほぐす。
2、グラニュー糖を加えて、泡立ち過ぎない程度に良く混ぜる。
3、マスカルポーネチーズを別のボールにあけて、3回にわけて2を加える。
4、アルコールが問題ない方は、少量のマルサラ(シチリアの酒精強化ワイン)やアマレット、またはブランデーで香りをつけて下さい。
マスカルポーネチーズはイタリア産のもので、少し値段が高いものでお試しください。
安価なマスカルポーネチーズでは、クリームがだれてしまう可能性があります。
【仕上げ】
1、スポンジケーキを(そのままかちぎっても良い)、エスプレッソをなじませる。
※スポンジケーキ、エスプレッソの分量は適量でクリームの仕上がりによって多少異なります
2、底が平らな器にスポンジケーキを敷き詰めて、上にマスカルポーネチーズを乗せる。
3、器に盛り付けてからココアパウダーをふるう。
ティラミスは定番のドルチェで、しつこいようですがレシピの数は限りなくあります。
皆様もいろいろとお試しいただき、ご自身でこれが一番というものを見つけてみて下さい。
お好みでココアパウダーをエスプレッソや抹茶の粉にしてみたり、クリームにフルーツのピュレを入れたりとアレンジも可能です。
またどんな料理もそうですが、数回か挑戦しましょう!
1度や2度うまくいかないのは当然です。
修正しながらだんだん良くしていってください!