メイン料理 魚偏

肉編でも申し上げたように、現地の人が贅沢な魚料理を食べる頻度はもしかしたらそう多くないのかもしれません。
それでも昔からある伝統料理は別。
今回はそんなシチリアの魚料理を紹介します。
イワシ

ベッカフィーコ

ベッカフィーコとは鳥の名前で、その形がベッカフィーコに似ていることからその名がつけられた。
いや、ベッカフィーコは知らないけど全然鳥っぽくないじゃないか
と思われたかたはその通りです。
全く鳥じゃありません。
では、なぜ?
実は現在ベッカフィーコはこの形に落ち着いてしまっておりますが、実はもう一つの形があります。
また後日ベッカフィーコの作り方とともにその画像をアップします。
味わいは実にシンプルで、
開いたイワシに詰め物を詰めてオーブンで焼きます。
詰め物はパン粉をオレンジやレモンの果汁で味付けするだけ。
中にはそれ以外にも、レーズンや松の実、イタリアンパセリ、カチョカヴァッロなどを加える場合もあります。
シンプルな味付けであればあるほど素朴でありますが、とても親しみやすい味となっております。
すごく美味しい料理ではないのですが、とても好きな料理です。
ポルペッテ

ポルペッテとは肉団子のことですが、イワシのつみれと言えば分かりやすいでしょうか。
写真ではトマトで煮込まれておりますが、そうじゃないものもあります。
イワシの骨やうろこを掃除して、刻んだり、すりつぶしたものに松の実やレーズンを加えて肉団子にします。
おすすめはミントを加えること。
いっそうシチリアの味がします。
日本人が食べてもどこか懐かしい味がするはずです。
メカジキ

メカジキもシチリアを代表する魚の一つです。
その立派な角(吻:ふん)が刃物に見えるのでイタリアではPesce Spada(ペッシェ スパーダ)と呼ばれております。
※Spada(意:刃物)
インヴォルティーニ・ペッシェスパーダ

肉編で紹介したインヴォルティーノ・シチリアーノと同様のものをメカジキでも作ります。
作り方もほとんど同じです。
メカジキが淡白であるぶん味わいもあっさりしたものになりますが、
さらにオレンジの果汁をギューッと絞るとさっぱりとして食べやすくなります。
写真のようにしっかりと焦げ目がつくくらいに焼くのがおすすめで、特に炭火で焼いたものが美味しいです。
写真のものはルーコラセルバチコを揚げたものが添えられて、風味が足されてとても良い料理になっております。
ポルペッテ

メカジキで作った肉団子です。
前述のイワシで作ったものよりもあっさりした味わい。
トマトを使わないソース、
甘酸っぱい味付けでアグロドルチェと言います。
シチリアでは定番の味付けで、様々な食材や料理でこの味付けをします。

バッカラ
塩ダラのことで、シチリアでは昔から食べられている保存食です。
他の州でも見られますが、シチリアのものは特別で他の州で食べるのとは少し違います。
スフィンチョーネ

スフィンチョーネというとストリートフードの記事でも紹介した、
ピザのようなものを思い浮かべることが多いです。
バッカラでも同じ名前の料理がありますが、
バッカラにトマトソース、玉ねぎ、オレガノを乗せてオーブンで焼き、
仕上げにリコッタサラータを添えたものがスフィンチョーネと呼ばれます。
個人的にはシチリアで最も美味しい魚の郷土料理の一つだと思っております。
タラのぷりぷりした食感と玉ねぎのシャキシャキが絶妙で、トマトの甘みと酸味、オレガノの香り、リコッタサラータの塩味が絶妙にあってます。
なかなかお目にかかれないと思いますが、メニューにあったら是非注文してみてください。
フリット

バッカラのフリットはシチリアではセモリナ粉で揚げてあります。
セモリナ粉なのでカリカリに揚がるのですが、身はしっとりとしています。
レモンをキューっと搾ってお召し上がりください。
イカ
シチリアで食べられるイカはスルメイカ、ヤリイカ、コウイカ(スミイカ)の3種。
どのイカもそれぞれ日本のものとは違う味わいで、
特に生で食べた時が強烈に美味しいです。
もしチャンスがあったら是非挑戦してみてください!
リピエーニ

リピエーニは詰め物という意味で、
多くはヤリイカを使って作られますが、スルメイカを用いる場合もあります。
中の詰め物を多くし過ぎないことがポイントで、入れすぎると加熱している間に膨らみ
中から詰め物が出てきてしまったり破裂しやすくなります。
写真のようにグリルしたものや、トマトで煮込んだものもあります。
詰め物はパン粉、イタリアンパセリ、レーズン、松の実、カチョカヴァッロなど。
日本でも比較的再現しやすい料理の一つだと思います。
フリット

シンプルにセモリナ粉であげたものです。
これは言うまでもなく美味しいのであるとつい注文してしまいます。
また前菜としてカプッチェという小さなイカ(主にスミイカの小さいもの)を揚げたものもおすすめです。

その他
その他実に多くの魚料理があります。
例えば、フリットミストや、魚介のスープのように数種類の魚を使う料理も魅力的ですね。


肉料理と同様更新していきます。
いかがでしょうか?
シチリア料理はシンプルなものが多く、同じ調理法を様々な食材で用います。
パン粉を多用するのは食材を無駄にしない気持ちの表れではないでしょうか。
また基本的にサイズやボリュームがあるのは、
お腹いっぱい食べさせたいというシチリア人のやさしさのように思います。
皆さまもシチリア料理を作る際はいつもより多めに作ってみて下さい。
そして、お腹いっぱい食べていただけましたら幸いです。