ジェイハン、そこは石川町にあるトルコ

日本

横浜・石川町と聞いて、トルコ料理を思い浮かべる人は多くないでしょう。

中華街や元町の名前に隠れて、駅周辺はどこか「通り過ぎる場所」になりがちだ。
けれど先日そんな石川町に用事が出来、ランチをとる機会があった。
そこで思いがけず印象に残る一軒と出会った。




「ジェイハン」だ。

ジェイハンはJR石川町駅から歩いて数分、静かな場所にある。

観光地の喧騒から少し外れ住宅と商店が混じる通りに看板が出ている。

看板は目立つが興味がなければ通り過ぎてしまいそう。
逆に言えば、日常の延長線上で立ち寄れる距離感が心地いい。

ランチタイムは比較的入りやすく、気負わずに異国の料理に触れられるのも魅力だ。
とはいえ筆者が訪れた土曜日の昼は狭い店内に文字通りぎゅうぎゅうにお客さんが詰め込まれた状態。
客層はというと、地元の若者から、近所の主婦にトルコ人らしき男性陣と多種多様であった。

この店の料理を支えているのは、トルコ人シェフだ。

詳しい肩書きを知らなくても、料理を口にすれば、積み重ねてきた時間の厚みは自然と伝わってくる。
派手な演出はないが、トルコの家庭料理を味わえる。
異国の料理を、日本の街の一角で無理なく成立させるには、経験だけでなく感覚も必要だ。
そのバランス感覚が、ジェイハンの料理にはある。
そんなシェフは日本語がペラペラな様子であった。

今回私は初めての訪問だったので一番手頃なトルコ家庭料理セット¥1800を選んだ。

ヤプラック・ドルマスというブドウの葉でお米を巻き、ヨーグルトソースをかけたものや、
レンズ豆のスープに野菜の煮こみ料理。
カルヌ・ヤルク(茄子の挽き肉詰め)など、トルコを満喫できる。

一緒にビールも飲んだ。
地中海No.1 という文字にやられてしまった。
飲む予定ではなかったのだが、キャッチコピーの力を感じた。

そして、ここでやはりトルコ料理そのものの魅力についても触れておきたい。

トルコ料理というと、ケバブのイメージが先行しがちだが、実際はもっと懐が深い。
肉や豆、野菜、ヨーグルト、オリーブオイルを使った料理は、どれも滋味があり、味わいは穏やかだ。
強い刺激で押してくるのではなく、じわじわと「美味しい」が積み重なっていく。
そのため、もともとトルコ料理に興味がなかった人でも、構えずに楽しめる。

ジェイハンでのランチは、「知らない料理を食べに行く」というより、「少しだけ視野が広がる昼休み」といった感覚に近い。

遠くへ旅をしなくても、石川町の一角で、確かに別の文化に触れられる。

特別な知識も、強い好奇心もいらない。ただ、いつもと違う昼ごはんを選ぶ。
その延長線上に、この店はある。

トルコ料理に興味がなくても構わない。
むしろ、そういう人にこそ、一度足を運んでみてほしい店だ。
静かな場所で、静かに積み上げられた料理が、思っているよりもずっと自然に迎えてくれる。