イタリア料理、つまりイタリアン。
といえどもイタリアは南北に長く、その点は日本と似ている。
日本でも北海道から沖縄まで地域によって料理は違うように、
イタリアでもピエモンテ州とシチリア州では異なる点が多い。
例えば北の方ではパスタは生パスタを食すが、南では乾燥パスタが一般的であった。
北の方ではバターを多用するが、南ではオリーブオイル。
これは生産出来るものが違うので容易に理解できる。
よってイタリア料理は郷土料理の集合体という見方が今では一般的のように思います。
私はイタリアンという言葉をほとんど用いません。
レストランも、例えば「何料理ですか?」と聞かれて、
「地中海料理です」と答えてもいまいちピンとこない。
そこで今回はイタリアンの定番の前菜とタイトルを付けましたが、
実際は
シチリア料理の定番の前菜
もしくは
パレルモの定番前菜
と名前を付けたいくらいです。
そこをご理解いただいた上で、この記事を読んでいただけたら非常に嬉しく思います。
前菜の盛り合わせ




前菜と言えば、盛り合わせを注文する方も少なくないはずです。
私もその一人で、というのもパレルモでは多くのトラットリアで前菜の盛り合わせを採用している。
せっかくなのでいろいろなものを食べてみたいのでよく注文するが、
写真をご覧いただけると分かると思いますが、このようにみるとどのお店もそれぞれ特徴がある。
それでは定番の前菜を紹介していきます。
カポナータ

ナスのカポナータは以前にもレシピとともに紹介させていただきました。
是非こちらもご覧いただきたい。
今回はメカジキのカポナータを紹介します。

前菜の中でも定番とされているカポナータ。
航海士のことをカポナータという発音に近いカウポーナと呼んでことから、
この料理がカポナータと言われるようになったという説が有力ですが、
航海士と言えば海のものを使うイメージですよね。
ではなぜナスなのか?
という疑問が湧きます。
そうです。最初は魚介類で作られてました。
それが、メカジキなのか。
いえ、実はメカジキでもありません。
最初はタコだったと言われております。
タコを引き上げて船の上で茹で揚げ、塩とレモンなどで味付けしたものがカポナータと言われていたそうです。(古いレシピに書いてあったものです)

現在でもタコのサラダとして、その料理が残ってます。
それがだんだんと変化して、進化して現在の形になったのでしょう。
さてメカジキのカポナータですが、
作り方はナスのカポナータとほとんど変わりません。
良く冷やして食べるのが一般的で、一日置いた方が美味しいとされてます。

レストラン以外でもスーパーや魚屋さんにも売られている人気の前菜の一つです。
カポナータはカルチョフィでも作りますので、ナス以外のものも是非召し上がってみて下さい。
パルミジャーナ
パルミジャーナとはナスを使った定番の前菜です。
揚げたナスにトマトソース、バジル、リコッタサラータを重ねてオーブンで焼きあげたもの。
美味しくないわけがない。

カルチョフィのリピエーニ

カルチョフィはただ下処理をして茹でたり、炭火で焼いただけでも美味しいです。


カルチョフィのリピエーニは非常に手間のかかる料理の一つです。
まずカルチョフィは下処理に時間が掛かります。
まずアクが強く、手が黒くなる。
そしてカルチョフィの種類によってはとげがありそれが危ない。
なので軍手などをはめてするのが通常です。
そして周りの葉を取り除いたら、中身をくり抜いて、その中に詰め物を詰める。
といったたいへんな作業を要する。

写真はカルチョフィにパン粉やレーズン、松の実を詰めて一度揚げた後にトマトで煮込んだものですが、
トマトを使わないものもあります。
当然カルチョフィのシーズンのみですので、見つけたら是非ご賞味ください。
カルドのフリット
またカルチョフィのシーズンにはその茎、カルドも食べます。
カルドは主にフリットにすることが多く、市場などでも見かけますのでこちらも併せてお試しください!

カボチャのアグロドルチェ

日本のかぼちゃと比べると煮込んでも固く、瓜だなという印象が残ります。
そんなかぼちゃを素揚げして甘酸っぱく味付けしたもの。
ローズマリーで香りづけします。
シャキシャキとした食感が楽しい!
日本のかぼちゃのイメージとは全く違います。
オレンジのサラダ

オレンジのとフェンネルとニシンの燻製を使用したサラダです。

ニシンの燻製の代わりにアンチョビを使うこともありますが、別物。
またブラッドオレンジで作るこのサラダは格別です。

フェンネルの爽やかな香りと食感に、オレンジの酸味とニシンの燻製の独特な風味と旨味が絶妙に相まって、シチリアの春を彩ります。
このん一皿でシチリアが想像できる、とても晴れやかな一品。
ガンベロ・ロッソ

エビを使った前菜は多いです。
エビにも種類があり、手長エビ、伊勢海老、オマール海老などのエビや白いエビもいて、どれも美味しい。

その中でもガンベロ・ロッソは日本ではなかなか同じクオリティのものが見つけられない食材で、
シチリア料理の定番でとても美味しいです。
マザーラ・デル・バッロという場所で採れるエビがもっとも高品質とされてます。
ガンベロ・ロッソですが、マリネにしたり、ローストしたり、パン粉焼きにしたりと何にしても美味しい。



パスタにしたらとても贅沢な一品にもなります。

カチョカヴァッロ・アルジェルティエーラ

チーズの一種であるカチョカヴァッロ。
カチョとはイタリア語でチーズで、フォルマッジョ同様に使用します。
カヴァッロは馬という意味ですが、かつてこのチーズを熟成させる際に馬の鞍にかけて行っていたことからこの名前が付きました。
作り方はカチョカヴァッロをフライパンで焼いて、両面が焼けたらヴィネガーとアンチョヴィ、オレガノで味をつけるといったシンプルなもの。
間違いない味です。
オーブンやレンジで温めても出来るので、簡単に作ることが出来ます。
是非ご家庭でも再現してみて下さい!
ネブロディ黒豚のハム


シチリアの名産品であるネブロディの黒豚を使った加工肉はどれも絶品です。
個人的にはスペインのイベリコ豚の最高級品ベジョータと匹敵するレベルにあると思います。
その肉質と肉自体の旨み、脂のコクと甘味と鼻から抜ける香りのバランス。いつまでも口に残る余韻。
最高ランクの加工肉でしょう。
シチリアの中でも東側、カターニャやラグーサと言った街で見ることの方が多いです。
是非現地のお肉屋さんで直接購入してその場で試食してみて下さい。
その味わいに舌鼓すること間違いなし。
牛のサラダ

シチリアでも特にパレルモで食べられるサラダ。
牛のボッリート(煮込み)にオリーブや人参、セロリ、玉ねぎをヴィネガーやレモンとオリーブオイルであえたシンプルなサラダ。
セロリの葉っぱが味に重大な役割を果たしております。
パレルモではレストランでも、スーパーやお肉屋さんでも見かける大定番の前菜で
パレルミターノの食事には欠かせない一皿。


このようにシチリアでは日本ではあまり見かけない食材や調理法を用いて現地の食材を活かした料理が多く見受けられます。
そこでした味わえないものも多く魅力たっぷりなので、
興味を持たれた方は是非旅行も検討してみてください!
食の旅にシチリアに行くのもきっと大きな財産になるでしょう。